8月9日、「市民と行政の連携による除雪に向けて」をテーマに、地域社会デザイン研究所の沼野夏生(なつお)所長に話を伺いました。

8月9日午後から、建設水道常任委員会の所管事務調査「除雪に関する調査」の参考人招致を行いました。現在、地域社会デザイン研究所所長であり東北工業大学名誉教授の沼野夏生氏をお招きして、「市民と行政の連携による除雪に向けて」をテーマに話を伺いました。

事前に、当委員会では質問項目を検討して、次の3項目にまとめました。①自助・共助・公助を可能とする除雪環境整備について、②市民が協力できる除雪体制づくり、③除雪状況にばらつきがある地域での除雪取組成功事例の紹介、の3項目です。

当日のお話しのポイントです。(1).最初に、前提となる歴史的認識ということで、除雪における自助・共助・公助の歴史についてでは、➀戦前、②戦後のモータリゼーション、③過疎高齢化の時代をたどり、これからは「公助による雪対策が万能ではなく、共助でなければ支えきれない分野があることを前提に対策を組み立てる」ことが必要と述べ、これからの共助型雪処理として、「内部の力➡潜在力の掘り起こし」、「外部の力➡ボランティ・地区間ネットワーク・自治体連携など」を挙げられました。

(2).次に除雪環境整備の課題に移り、市民との連携に関する理解の促進のためには、予算面・人手面等での公助の限界と共助の必要性に関する情報公開・周知活動を指摘。「福祉的な住民の力をひぃだしていくことが必要」と述べられました。

(3).市民と連携できる除雪体制づくりのヒントとして、いくつかの具体的な事例を紹介いただきました。

▶公助と共助の役割分担の明確化と協働体制の構築事例(山形県村山市)

▶集落単位の共助への自治体補助金制度(新潟県松代町→十日町市)

▶個々の市民との情報共有、協力関係の形成(除雪車ロケーション情報システム)

▶豪雪災害に着目した地域防災計画(恵那市三郷地区防災計画)

▶除雪の共助を地域システムに組み込む(島根県飯南町・谷自治振興会、赤坂スノーバスターズ)

▶間口除雪(福祉除雪、オペレーターによる配慮、有償ボランティア等)、等

最後に、少雪地の取組み事例を紹介いただき、質疑応答となりました。

今回、特に注目したいと思ったのは➀集落単位の共助への自治体補助金制度、➁豪雪災害に着目した地域防災計画、➂「間口除雪」の考え方の整理という点でした。