福島市立夜間中学開校を祝う会が開催されました。「夜間中学があることで、地域の教育力が向上する」

6月22日㈯、福島市こむこむ館わいわいホールで、福島市立夜間中学開校を祝う会が開催されました。4月16日開校の公立夜間中学「福島第四中学校天神スクール」は、県内初で、東北でも仙台に次ぎ、2校目となります。今回は17名が入学して、1名は郡山市からの通学生です。写真は、入学式の記念撮影のものです。

今回の祝う会の主催者は、「福島に公立夜間中学をつくる会(代表・大谷一代さん)」で、「開校式や入学式は関係者のみの出席だったため、多くの人と開校を祝いたいと企画しました」。

はじめに大谷代表の挨拶、続いて福島市教育長の佐藤秀美氏、天神スクールの渡部正晴校長、山内崇司教頭、生徒の方などの話がありました。

振り返れば、2017年1月の「夜間中学を知る集い」で当時の前川文科省事務次官の講演の熱気冷めない中で、県庁の義務教育課へ電話。今後の県の対応を伺った折に応対していただいた佐藤秀美氏が、今の市教育長だったことが今回の挨拶で判明して、驚くと同時にご縁を感じました。そして、教育長が語った天神スクール開校式の裏話が印象に残りました。

その日、式典で隣に座った木幡市長が「ボソッと言ったんですよ。『作ってよかったな。優しい街にしたいな。』」

 

次に、生徒の皆さんによる校歌斉唱と休憩を挟んで、後半は元文部科学事務次官の前川喜平氏による講演「福島の公立夜間中学に期待する」がありました。

「私の中では、すべての人に学ぶ権利を保障するという大事な仕事を文部科学省(文科省)は放棄していた。2014年に超党派の夜間中学を応援する院内集会があり、議員連盟ができた。2016年に教育機会確保法ができ、夜間中学が法律上の根拠をもつことに。そして、2017年に文科省の法令改正がありました。当時は、学習指導要領通りにやっている夜間中学はなかった。オーダーメイドの教育です…」

前川氏は、夜間中学をめぐる歴史の中で、今は「第3の増設期」に当たると分析されました。

「文科省のトップダウンで、焦って作っても良いものは作れない。本当に学びの場を求めている人に対して、やっつけで作ってはいけない。ハッキリ言って、夜間中学はただの中学校ではないと割り切って、スタート地点はそれぞれの生徒さんの事情に寄り添った所からです。」

このお話、スタートしたばかりの天神スクールにとって、校長先生、教頭先生、教育長、多くの市議会議員も、一緒に確認できたことは、今後への大きな財産となりました。

最後に、スタッフの方の閉会の挨拶を伺い、みたび共感しました。「当初、今回の企画は無謀ではないか?」と思ったそうです。しかし、大谷一代さんが発揮する突破力は、次の道を切り開く希望の光となるのですね。引き続きよろしくお願いいたします。

見出しの言葉は、2017年1月の市民会館での「夜間中学を知る集い」で、映画『こんばんは』が上映され、サプライズで42年間専任講師を務めモデルとなった見城慶和さんが登場しました。その時の挨拶メモから、「夜間中学があることで地域の教育が向上する」という一文を思い出しました。同時に、この時が前川さんとの初めての出会いで、そしてこの年の1月いっぱいで、前川さんは文科省事務次官を引責辞任しました。あれから8年目です。