建設水道常任委員会で、除雪に関する調査のため名取市・滝沢市・横手市へ行政視察に行ってきました。

10月3日から5日まで建設水道常任委員会の行政視察があり、除雪に関する調査を目的に宮城県名取市・岩手県滝沢市・秋田県横手市を伺いました。

1日目は、名取市役所を伺って「除雪ボランティア『名取ゆき・かき・スコップ隊」について調査。名取市は平均の最深積雪が10センチと降雪量は比較的少ない地域ですが、当時の一般質問が契機となり平成30年に開始した事業です。町内会が主体となり、活動内容は市が管理する歩道・生活道路・通学路などの道路を対象に、除雪や融雪剤散布を行っています。今年3月段階で、登録団体61団体・736人が登録し、これまで市からは除雪スコップ290本、除雪ダンプ99台、融雪剤225袋を提供しています。登録団体の活動総延長は約40キロメートル、市道全体の約8パーセントです。

2日目は、岩手県の滝沢市で、「市・住民・除雪業者による三者協働除雪体制について」を調査しました。前泊した盛岡市から、クルマで約20分の滝沢市役所で話を伺いました(写真1)。令和3年度の12月から3月までを例にとると、降雪量合計が198センチ、この期間の除雪費用が2億9,578万円、除雪出動回数が657回です。注目は、『協働除雪ハンドブック』の作成とその活用です。急速に進む高齢化等の影響により、「将来も持続可能な除雪体制を気づくためには、住民・除雪業者・市の連携、協働は必要です」「本ハンドブックにより地域の協働除雪への取組みが増えることを期待していますが、‥‥(まずは)地域で除雪課題の解決のために話し合うことにより、地域の除雪担当業者の負担を軽減することで、持続可能な除雪体制構築にも繋がるという意識でハンドブックを活用していただくことを期待します」。興味を引かれたのは、「地域コミュニティ除雪」の3つのパターンとやり方、事例紹介のいわゆる‟手引き部分“です。参考になります。

3日目、視察最終日の昨日は、秋田県の横手市役所で「利雪・親雪・克雪」のまちづくりについて話を伺いました(写真3)。歓迎の挨拶に立った市議会総務常任委員会の髙橋和樹委員長は、「横手市の除雪は完璧です。オニのように雪が降る。『そこまで除雪しなくてもいいのではと思うほど(笑い)‥‥』と、元オペレーターならではの感想です」と紹介されましたが、降る雪の凄さと除雪の正確さ、真に迫るものを感じました。

令和2年1月の最高積雪深203センチを記録した豪雪では、「屋根にうずたかく積もる雪に、住民たちは家がつぶれてしまわないかと不安な日々を過ごしていた」(地元新聞報道)といいます。深刻さが増すとともに、命がけの取組みが伝わってきました。本気度をフル回転させた時に見えてきた、行政・住民・除雪業者が相互理解と一歩踏み込む努力と手段、施策でした。

中でも、平成17年の「雪となかよく暮らす条例」は、「暮らしにうるおいを与えてくれる自然の恵みとして雪を積極的に受け入れ、雪を生かし、市と市民、事業所が一体となって快適なまちづくりを進め、魅力のある雪国を創ることを目的」としています。制定の背景には、平成13年の総合計画策定時の市民アンケートで「雪への対処が非常に困難であるとの回答が圧倒的多数だったことがあったといいます。キイワードは、「利雪(りせつ)、親雪(しんせつ)、克雪(こくせつ)」で、特に克雪では降雪前に地域住民と除雪オペレーターが意見交換会の場を持ち、相互理解を深めることで除雪の満足度向上を目指しています。さらに、冬期の市民生活全般においての必要な情報が、まだまだ市民の理解を得られていないという現実を知り、『学雪のすすめ~雪となかよく暮らすルールブック~』がまとめられました。

今後、これから一層進む高齢化、人口減少による除雪の担い手減少、増加する災害級の降雪の中で、「地域の除雪力」が一層求められる社会になります。そのために必要不可欠な施策は、➀社会状況に即した支援策➁市と住民がそれぞれの役割を果たす仕組みづくり③地域の除雪の担い手育成④住み続けられる生活環境の確保であることを学んで、この日の夕方、福島に戻ってきました。