「相模原市における生成AIに係る取り組みについて」をテーマに、市長公室DX推進課の佐伯課長と東主任に説明いただきました。

令和6年1月29日(月)、神奈川県相模原市役所に市長公室DX推進課の佐伯正和課長と東博美主任を訪ねて、「相模原市における生成AIに係る取り組みについて」をテーマに話を伺いました。

説明の冒頭、佐伯課長の挨拶がありました。「昨年 10 月に、日本、国産の生成AIということで、NECさんの生成AIを使い始めるというような発表でしたけれども、ちょっと報道が先行しておりまして、実際にはまだ使ってもないですし、その製品そのものもまだできてないような状況です。……実際問題としてはですね、現状としてはChatGPTをまだ使っているところではありますし、それはどういうふうなものになるのか、現状としてまだ評価をするところに至ってない状況で、ただその辺の導入する基準とかですね、そういったものをご説明できればなと思っております」

詳しい説明は、東博美主任からいただきました。まず、昨年5月にChatGPTの業務活用を検討するため、全庁に実証実験サポーターの応募を呼び掛けて23名に手を挙げていただき、昨年6月から11月まで半年間の実証実験を実施しました。目的は、①どのような業務で活用が見込めるか、②業務利用をする場合の運用ルールなどについて検討を行うためで、公開情報の利用に限って行いました。さらに、(直接にChatGPTを利用するのではなく、セキュリティ対策や利用集約のため、API連携の対話型AIサービスとしてギブリー社の「行政GAI」を間に挟みました。

実証実験の行いつつ、7月の課内検討の中で、①行政文書の取り扱い、入力(プロンプト)の自動生成など制度、技術ともクリアすべきハードルは高く自前構築は難しい②外部の知見を学習する研修を定期的に開催しノウハウの更新を図る必要性から、回答精度の向上には外部の知見が必要と認識。

同じ頃、7月6日にはNECが日本市場向けに生成AIを発表しました。そうした中で、相模原市の積極的なアプローチとNEC営業の軽快なフットワークにより共同検証が実現しました。

10月19日、生成AI共同検証に関して①自治体行政分野に特化した生成AIの実現可能性の検証、②自治体に適した安全で利便性の高い生成AI利用環境の構築に向けた検討する協定締結式を行いました。

「日本語にやっぱり特化したような形で、……目的としては、今、申した通り、一緒に手持ち、要は手弁当でやってみましょうというのが大事。それで、目的は自治体行政分野で生成AIがどれだけ使えるかを確認しましょう、自治体行政で本当に使えるかどうかの確認をしましょうというところで、あと守秘義務ですとか個人情報の取り扱い、これも気をつけましょう。あと成果の帰属とかこれは共同研修とかいろいろな共同研究とかに出てくる項目について、定義した上で協定書を結ばせていただきました」

相模原市とNECとの実施体制と役割分担です。庁内のユースケースを挙げていく中で、「各々やはり目的が違います。出てくるアウトプットの想定されているものも違う、使う職員も違いますので、各々に応じたものを、まずは、各項目でユースケースを具体的にしていきたい。当然各々、関連、関係がございますので、その次に連携を含めて、各々の整合性を高める。最終的には、市の情報だけではなくて関係の省庁の法令、県からの事務連絡、その他の指示、そういうものも取り組んで、全体の整合性というよりは使い勝手を上げていきたいというふうに考えております。……現状では残念ながら、形にはまだできておりません。ただ、とは言ってもいつできるんだというような形で、1 月の定例の市長の定例の会見でも記者の方から質問がありまして、2 月とか 3 月とかですね、そういう形で何かしら目に見える、先ほど市長の写真が出ていましたけれども、ちょっと使えるじゃないかというように言ってもらえるように今、非常にねじを巻かれておりまして、日々、学習データの更新とか、問いかけのやり方とか、そういうものの準備を進めているところというのが現状でございます。」

「ここら辺になると、相模原市だけでできるのっていう意味合いも含めて書いてるんですが、多分我々だけでは無理です。行政全体でやるとか、全国的にやるとか、そういう形になってくるのかなと思っております。1 つの形としては、何かしらの、こういうガバメントクラウドとかいうような、クラウドの流れに乗っておりますんで、行政システムの基幹業務標準化がされるんだったら、データの共通化とか、AIの強化を共通化するのがやっぱりパワーとしていいんじゃないか。先ほどの条例とか要綱の関係性を考えても、県とか、関係省庁の法令とか関係して参りますので、それも含めての学習がやっぱり必要だろうなと」

「大分、個別の情報を今 cotomi(NECの生成AIの名前)に、共通のこういうプラットフォームみたいなところに、相模原市のローカルの情報を、今、学習させてうまくいくかな、どうかなっていうのを、我々としてはこれから検証していくというのが、今のフェーズ。今後に関してはこういう行政事務の効率化とか市民サービスの展開を考える上では、やはりグローバルでグローバルなことをやらないと、なかなか 1 つの自治体だけが取り組んでも、そんなに使い勝手のいい、加えて、非常に精度の高いものっていうのはできないと思っておりまして、県とか国の範囲、グローバルグローバルでやはり物事に取り組んで、行政向けの汎用AIを作っていきたい」

説明が一通り終わった後に、DX推進の佐伯課長からNECとの件での補足がありました。「……国産であればデータセンターとかやって、専用線でつなぐっていうことができるので、相模原市独自のものがつくれるんじゃないかなっていうのも、ちょっとあったところではありました。……日本語をうまく使い分けっていうものが、日本の企業でもNECはそれがすごい得意だと言ってましたので、この国産の生成AIに懸けてみたいなっていうようなことからですね、この国産生成AI、まだ使ってないんですけども、この開発を一緒に手をつけていきたいなというようなことでした。……」

その後、質疑応答の時間を取っていただきました。その中から2点紹介します。

➊(丹治委員)そうすると今共同検証と、あともう一方でLoGoチャットを使ってどんどん活用を検討しながら進めてる、そういうイメージですか。

(DX推進課長)そうですね、もともと行政GIAを 6 ヶ月で使っていまして、それが終わったところでLoGoチャットというものに切り換えました。やっぱりインターネット経由で使うとちょっと接続にちょっと時間かかるなとか、仕事しているときにすっと使いたいなっていうことが、なかなか課題だったが、LoGoチャットであれば、それはできるよということで、半年経ったところで切り換えてですね。……

❷(山田副委員長)……今NECと進めている、個人情報保護を進める上での、御市での基本的な理念というか、そういうところをちょっとお聞かせいただきたい。

(DX推進課長)個人情報については今申した通りですね、一切渡していませんし、とりあえず情報漏えいがないっていうような、その環境というか、サーバーがここにあって、ここに繋がるのは誰だとかっていうのは、きちんと明確にされるまでは、こちらの個人情報を入れるつもりはないかなと思います。……

(DX推進課主任)実を言いますと、匿名化のいろいろな技術もございますけども、やはり、10 万件とか 100 万件ぐらいでバーッと希釈をしないと、個人がやっぱり特定できてしまう。相模原市 70 万人しかおりませんので、その人の個人情報で言うと、相模原市だけでは多分個人情報の匿名化はできないって個人的には思っています。となると、ここで言っている通り、その一自治体とか、そのレベルではなくて、もう少し大きなレベルで取り扱うようになって初めてこの議論ができるし、それまで、例えば相模原市だけでやる段階においては、個人情報を出さないを基本にしたいなと思っております。今のところ相模原市単独で出してしまうと、何とか町の田中さんですねってわかってしまうリスクが、70 万人ぐらいしか母数がないと出ちゃうんで。その 78 歳男性南区どこそこって言うと、この人かってなってしまうので、それはさすがにまずいと思っています。