福島大学食農学類(仮称)に対する、3月定例会議での2つの対応について報告します。

福島大学食農学類(仮称)に対する、福島市議会3月定例会議での2つの対応について報告します。


1、 福島市の「福島大学農学系教育研究組織設置支援事業」として7億2,540万円を議決しました。
平成31年4月の開学を目指す福島大学食農学類(仮称)に対して、平成30年度予算において、「福島大学農学系教育研究組織設置支援事業」として7億2,540万円を議決。「食」と「農」に関する専門分野を修学した人材の地元就農や就職、調査研究の成果や立地による経済効果等の産業振興を図ります。同額を来年度も支援の方向で、合計額は14億5千万円余になります。

これは、昨年10月27日に開催された福島大学と「議員連盟」との意見交換会(写真上)において、福島大学の若井祐次事務局長が示された平成28年~36年度の必要経費想定額合計」約69億円において、設備整備費約19億円の内の「福島市への誘致を目指す期成同盟会(県北7市町村+JAなどで構成、会長・福島市長)様」の負担分の約18億円(大学約1億円)の約80%にあたります。

この時に農政部次長から示された『一般財団法人とうほう地域総合研究所の調査による学類新設が地域及ぼす経済波及効果』によると、開設後10年間の「福島市における生産誘発額は、施設建設に係る効果が25億7,200万円、什器等備品購入に係る効果が4億6,200万円、学類運営費支出に係る効果が5億9,400万円、増加する教員の消費支出に係る効果が12億700万円となり、合計で48億3,400と推計される」。全体の91.1%の波及効果が福島市に及ぶと分析しています。ちなみに、福島県における生産誘発額は10年間で53億800万円と推計しています。

3月末時点で、「期成同盟」としては福島市と伊達市が平成30・31年度での予算化が決まりましたが、他では30年度当初予算計上には間に合わなかったこともあり、今後、それぞれ補正予算等での支援策を具体的に検討していくこととなりそうです。

2、県に対する「福島大学食農学類(仮称)の設置、人材育成に係る財政支援を求める意見書」を提出

福島県の具体的な支援内容は、3月末の時点では明確にされてはいません。市の情報では、県は大学の地域貢献を認めつつ、企画政策部企画政策課が窓口となり、ランニングコストか人材育成に資する支援で福大側と協議中と聞いています。そうした中で、福島市議会としては今回の支援予算を議決しつつも、福島県に対する「福島大学食農学類(仮称)の設置、人材育成に係る財政支援を求める意見書」を提出することをしました。

「福島大学は、平成三十一年四月に食農学類(仮称)を開設すべく準備を進めている。東北六県で唯一、農学系大学、学部がない本県にとって福島大学に食農学類が新設されることは、高齢化や後継者不足など多くの問題を抱える本県農業にとって、その将来を担う人材の育成や農業の中核的な担い手の確保のために重要である。また、東京電力福島第一原子力発電所事故による放射能被害からの復興、本県産農水産物の風評被害払拭のため長期的な視野に立ち、農業の質向上を目指す人材や地元に根ざした研究者の育成のためにも重要である。
そのため福島市は、県北地域等の市町村と共に設置に係る財政支援を打ち出している。
よって県においては、七十年近くの歴史と伝統があり、多くの有為な人材を輩出し本県発展に大いに寄与している福島大学に食農学類が設置されるに当たり、その重要性を重く受け止め、財政支援を行うことを強く要望する。
福島市議会議長 半沢 正典     」

なお、今回掲載の写真につきましては上から2・3番目は2017年2月17日の「議員連盟」との意見交換会でのもの。4番目の若井祐次事務局長、5番目の小山良太教授の写真は、2016年11月26日の福島大学松川キャンパス内での「期成同盟会勉強会」でのものです。