視察報告・駅前商店街の活性化「整備計画」が「水木しげるロード」へ発展!

dscf22821019日から21日まで、会派の行政視察で出雲市・境港市・米子市を訪問。出雲市市役所においては「出雲大社周辺まちづくりについて」、境港市では「水木しげるロードの取組について」、さらに米子市においては「中心市街地活性化基本計画の取組について」、それぞれ、経緯・成果・課題を聴取してきました。今回改めて感じたのは、街づくりを担う人、キーマンの存在でした。特に、メインの視察地でもあり、強い印象を残した水木しげるロードについて報告します。

dscf2258最初に、JR境港駅前の「みなとさかい交流館」会議室において、境港市観光協会・事務局の中井真夫氏から「水木しげるロードの取り組みについて」経緯・成果と課題を伺いました。

鳥取県の西の端に位置する境港市は、人口約35千人で基幹産業は漁業です。日本屈指の漁港で、現在でも生のクロマグロやカニの水揚げ量は日本一です。しかし、境港とは対照的に、昭和の末には玄関口である駅前商店街はシャッター街でさびれ、その危機感の下、当時の市長のリーダーシップで「街づくりプロジェクト委員会」が組織されます。平成元年、委員会による「緑と文化のまちづくり」の取り組みがスタート。駅前商店街の街路を「うるおいのある道」にする計画の中で、市から、設置するオブジェを地元出身の水木しげる氏ゆかりの「妖怪」とする提案が出されました。当初は反対派が多数でしたが、プロジェクト職員の熱意もあり、紆余曲折を経ながら「水木しげるロード」がオープンできました。

それからはdscf2286メインの妖怪ブロンズ像も年々数を増やし、今では153体、水木しげる記念館の開館、JR西日本の鬼太郎イラスト列車の運行、映画やアニメの放映、各種イベントの開催と企画を重ねて、平成22年にはNHK連続テレビ小説「ゲゲゲの女房」の放送により、年間入込客数372万人を記録しピークを迎えました。dscf2287その後も、国内外から年間約200万人が訪れる中国地方でも有数の観光地となりました。

現在、平成5年のオープンから23年が経ち、大規模なリニューアル事業計画が進行中です。「妖怪のまち」も大きく生まれ変わろうとしています。。(さらに、近年では国内外のクルーズ船も数多く寄港し、海外の訪問客も増えており、外航クルーズの分野では日本海側拠点港に選定されていて、新たな貨客船専用岸壁の整備も進んでいるとのことです。)

この勢いの渦の中心には、キーマン、桝田知身氏の存在があります。20045月に観光協会会長に就任すると、幅広いネットワーク、高射砲のごとき繰り出す豊富なアイデア、行動力、マスコミへの働きかけなどで、境港市の人気観光地としての地位を確立していきます

dscf2261説明を受けた後、会議室を出て、中井氏の案内により全長約800メートルの水木しげるロードを徒歩で視察しました。多くは平屋や2階建の商店です。

桝田会長が言っていますが、「ありがたいことに、境港には新幹線も来ないし人口も増えない。高いビルもない。神社や祠、お寺、森、川、海、路地など不思議なものに出会えるような環境が、古い面影をとどめたままたくさん残っている。『水木しげるロード』界隈などは、とくに昭和の雰囲気を色濃く残すたたずまいだ。妖怪ブロンズ像にしても、近代的な高層ビル群の谷間にあっては、冴えないであろう。昭和の風情の残る町並みだから活きるというものだ」(桝田知身著『水木しげるロード熱闘記』から)。

dscf2277温かみのある妖怪像に囲まれ、水木しげるロードに立った時に感じる「安息感」「幸福感」といったものがわかった気がしました。最後に、ゴール地点にある「水木しげる記念館」を訪れ、境港市とのかかわりを水木しげる氏の作品や写真で辿りました。