経済民生常任委員会の所管事務調査 「有害鳥獣による農作物被害対策に関する調査」 の「委員長報告」を発表し、市へ政策提言しました。
経済民生常任委員会(写真①・審査中)の所管事務調査「有害鳥獣による農作物被害対策に関する調査」の委員長報告を6月定例会議で発表(写真2)して、承認を得た後、同日午後には木幡浩市長に対して「政策提言」(写真3)を行いました。この間の経緯と、政策提言内容について報告します。
本市では、有害鳥獣による農作物被害を減少させ、農家の経営の安定を図るため、有害鳥獣被害対策事業を推進しておりますが、依然として大きな被害が生じております。
当委員会では、特に被害が大きいイノシシとニホンザルによる農作物被害へのさらなる対策が必要であることから「有害鳥獣による農作物被害対策に関する調査」を調査項目と決定し、令和2年 10 月より計 13 回の委員会を開催いたしました。
この間、市当局から詳細な説明を聴取するとともに、有害鳥獣の捕獲罠及び侵入防止柵を現地にて調査いたしました。また、参考人として、福島市鳥獣被害対策実施隊の副隊長で福島県猟友会福島支部長の磯邉秀雄氏並びに、福島大学食農学類准教授で福島市有害鳥獣被害対策協議会アドバイザーの望月翔太氏から本市の有害鳥獣対策の現状と課題などについて意見を聴取いたしました。
さらに、ICTを活用した有害鳥獣対策に取り組んでいる桑折町の調査にあたっては、コロナ禍の状況を踏まえて、桑折町からの協力をいただき、当初の視察地に赴き調査する方法から、調査票を送付し回答を得る方法へと切り替えることにより実施いたしました。
市に対する提言は、以下の通りです。
1 有害鳥獣被害対策の体制づくりについて
(1)住民が主体的に取り組む土台をつくるため、集落環境診断に積極的に取り組み、地域
全体で課題や情報を共有し、解決策を見いだすことができる体制を構築すべきである。
(2)指導員体制の強化を図るとともに、有害鳥獣対策に関する地域のリーダーを担う人材を得るため、研修会を開催するなど人材育成に取り組むべきである。
2 有害鳥獣を農地へと寄せつけないための環境整備について
(1)餌場となっている放任果樹や収穫残渣については、農作物に与える被害はないものの、有害鳥獣を呼び寄せる要因となることから、地域全体で解消すべきである。
(2)耕作放棄地は、有害鳥獣にとって隠れ場所や通り道となり、農地へと近づく要因となることから、地域と連携してその解消に向けた対策に取り組むべきである。
(3)河川周辺の整備されていない樹木や、やぶについては、河川を管理する国、県とさらに連携を強化し、刈り払いを行うなど、有害鳥獣を寄せつけないための環境整備を求めるべきである。
3 有害鳥獣対策にICTを活用することについて
(1)イノシシによる被害対策への活用については、捕獲頭数を増やすことを直接的な目的とすることよりも、捕獲を効率的に行うことができるようにするため、データ収集・分析等に活用すべきである。
(2)ニホンザルによる被害対策への活用については、捕獲、管理体制を強化するため、全ての群れに発信機をつけることにより、出没地域や加害レベルなどの詳細な状況を把握し、群れごとの対策を講じるべきである。
(3)ICTの進展により、現時点では費用対効果の面で導入が難しい分野に関しても、新たな対策に向けた活用の可能性が広がると考えられることから、研究開発の状況にも注視すべきである
この木幡浩市長(写真3)への提言書提出には、正副議長とともに経済民生常任委員会の正副委員長が同席しました。