
鹿児島市の「天文館図書館」、豊後竹田市の「城下町交流プラザ」・「歴史文化館・由学館」、臼杵市役所で移住・定住支援の取組を会派視察しました。
1月20日㈪は、鹿児島市の中心繁華街・歓楽街にあるショッピングモール「センテラス天文館」の4・5階に、令和4年4月にオープンした「天文館図書館」に会派の視察で伺いました。年間60万人が訪れる市民の興味の扉を開いてくれる街中の居心地の良い空間でした。
指定管理者は㈱図書流通センターで、約30名のスタッフが「そだつ・くらす・はたらく・うみだす」の4カテゴリー270小テーマに分類された図書の貸し出しや返却等の基本的な図書館サービスの他、誰もが居心地よく過ごせる空間の提供やイベントの開催等により、市民交流の促進や学びと創造活動の支援をしています。
館内を案内していただく中で、WEBからもできる座席予約システムやセルフ貸出機に興味が引かれました。このセルフ貸出機(写真②)は、書籍の背表紙画像と書籍の国際標準コードISBNをヒモ付けて管理していて、数冊を一括読み取りができました。また、館内での会話の制限がなく、コンサートなど音の出るイベントの開催もできるとか。繁華街にある、知的なオアシスとでも言えそうです。
翌1月21日㈫は朝一で鹿児島市をスタートして、昼には大分県竹田市(たけたし)」へ。国指定史跡の山城の「岡城(おかじょう)」のふもとには、武家屋敷や滝廉太郎記念館、竹田キリシタン資料館などがあり、城下町の歴史散策が楽しめます。
今回は、2020年4月オープンの「城下町交流プラザ」とリニューアルされた「歴史文化館・由学館(ゆうがっかん)」(写真③)を視察しました。通りに面した外壁とアプローチ空間には竹がふんだんに使用され、「竹田らしさ」が表現されて、城下町の景観にマッチしたものでした。
「歴史文化館・由学館(ゆうがっかん)」内の岡城ガイダンスセンターでは、石垣シアター「豊後岡城物語」や岡城跡地形ジオラマ(写真④)、国指定重要文化財「銅鐘(サンチャゴの鐘)」を見学できました。
どちらも設計を手掛けたのは、日本を代表する建築家・隈健吾氏ですが、今回の主な質問は次の2点でした。①世界的建築家が公共施設の設計をするに至った経緯について、②所管の異なる複数の公共施設を同一の設計者にするための手続きについてです。
竹田市では、平成27年から28年にかけて、都市再生整備計画の変更協議を行いました。平成28年には熊本地震による歴史資料館御被災もありました。協議の結果、中心市街地再生にとって「歴史文化交流センター」と「コミュニティセンター」の2施設は、同一のコンセプトやイメージで「城下町交流拠点施設」として設計されるべきとなり、2施設を同一の設計業者の托すことにしたとのことでした。最終的に9社の応募があり、総合的な評価で「㈱隈研吾建築都市設計事務所」を最優秀者に選定したとのことでした。
今回の視察最終日1月22日㈬は、大分県臼杵市の駅前のホテルでの朝食からスタート。午前9時臼杵市役所に伺いました(写真⑤)。
セールスポイントは、自然豊かな中で臼杵夢堆肥などの完熟堆肥で土づくりを行った元気な畑の農産物と、豊後水道・臼杵湾の豊かな漁場でとれた海の幸に恵まれていること。2023年にはユネスコ食文化創造都市ネットワークに加盟しています。子育て世代には、待機児童がゼロで、保育料や高校生までの医療費も無料であること。そして、歴史文化の薫る町です。
地理的には、JRで博多~大分~臼杵が約2時間半、それぞれの自動車道を使えば福岡市と北九州市から約2時間です。
充実した移住施策では、平成27年度から、移住支援補助制度がスタート。令和6年度実績では、都市部での移住フェア開催、オンライン移住イベントの開催、臼杵体験としておためしハウス(1泊2000円)や移住体験モニターツアー、移住者交流会などを年間を通して開催しています。
移住者の傾向は、毎年200人以上が移住し、その内81%は40歳以下の若い世代が占めること。「自然環境の豊かさ」「移住支援制度の充実」「子育て環境の良さ」を理由に移住する人が多いと分析。特に、隣接市からの移住が多く、大分市からはベッドタウン的な位置づけから、仕事を変えずに新居を構える子育て世帯の移住が顕著と伺いました。