香川県高松市の「高齢者の居場所づくり事業」を視察
1月27日㈮に、香川県高松市の「高齢者の居場所づくり事業」を視察するため、高松市役所を訪ねました。健康福祉局長寿福祉課の多田安寛部長と高尾昌伸課長補佐に説明いただきました。
高松市では、高齢者が心身機能の衰えに伴い閉じこもりがちとなり、社会との接点をなくして孤立することなどを防ぐため、高齢者だけでなく、子どもたちを交えた世代間交流の場など、気軽に集える「居場所」の開設を進めています。この「居場所」とは、概ね65歳以上の高齢者が気軽に集うことができる建物等のスペースで、介護予防や健康増進、地域のボランティア活動、世代間交流など、様々な地域活動の場となるものです。市ではこの事業により、高齢者が住みなれた地域で自分らしい暮らしを継続できる地域包括ケアの実現を目指しています。
高松市では、京都や高知などの事例を調べた国の調査結果をもとに、“人口1万人で10か所”で効果が出るのではと考え、平成26年度から28年度までの3年間で、おおむね徒歩圏内(半径500m)に1か所を目安として、市内300か所程度の開設を目標として、今年1月1日現在、240か所を開設しました。実施場所は、地域の集会所(103)、市有施設(52)、事業所・NPO等の施設(34)、個人家屋(32)・老人いこいの家等(17)などです。
市からの助成内容は、①施設整備助成金で、開設時1回のみで施設改修や備品購入の費用・最大20万円(トイレの様式化・カラオケ、エアコン設置など)、②運営助成金(開催回数に応じて年間3~7万円)、③子どもふれあい加算(28年度から新設され、1回あたり500円)があります。この他、市からは「高松市のびのび元気体操」講師派遣や「居場所交流会」の開催、居場所マップの作成などの支援があります。28年度予算では、施設整備助成金1,624万円・運営助成金1,161.5万円・子ども加算金15万円が計上されています。
この間の取り組んだ効果として、平成27年度主観的健康感の調査では「維持・改善者率91.5%」、また、平成27年度介護保険新規認定者率では居場所利用者が未利用者との比較において8分の1と際立って低い状況でした。
高松市では、これまでの施設整備助成の事業は今年度で終了して、来年度からはステップアップして第2ステージに入る計画です。高齢者が住みなれた地域で自分らしい暮らしを継続できる地域包括ケアの実現をさらに目指します。最後に、説明いただいた担当者から、「福祉情報は必要な人しか受け入れていただけませんが、元気な高齢者の居場所が福祉情報の発信場所としても活用できる」ことの重要性についても陳べられ、大事な視点だと思いました。