総務常任委員会の所管事務調査「生成AIが与える行政運営への影響に関する調査」で神戸市と埼玉県戸田市へ伺いました。
10月28日(月)・29日(火)の2日間、総務常任委員会の行政視察で兵庫県神戸市と埼玉県戸田市へ伺いました。今回の所管事務調査のテーマは、「生成AIが与える行政運営への影響に関する調査」です。
神戸市企画調整局デジタル戦略部からは、まず、「AIの積極的活用に向けてーAIのルール整備」についてです。神戸市におけるAI関連の取り組み経緯に合わせて、「安心してキッチリ使っていこう」ということで、令和5年6月に生成AIの利用ガイドライン策定。遵守すべき事項を解説いただく中で、特に「検討・判断の責任は人間である各職員にあり、生成AIは業務執行にあたっての単なる補助的なツールに過ぎない。(選んだ責任は職員にありますよ。)」を注意点として挙げました。
次に、国内外でルール整備や規制の動きがある中で、今年3月公布・9月施行された「神戸市におけるAIの活用等に関する条例(AI条例)」は、「規制が目的ではなく一定のルール下でのAIの効果的かつ安全な活用が目的」で、対象は神戸市及び市の業務を請負・受託等する事業者です。
8つ上げていただいたポイントの中から2つをピックアップしました。①生成AIについては、プロンプト(入力する指示や質問)への個人情報等の入力の禁止②「首長と議会の二元代表制の考え方」から市議会における答弁内容を生成AIに委ねることを禁止しています。なお、参考資料の作成への活用等はOKです。
後半は、生成AIの本格導入について、今年2月から全庁(約12,000人)でマイクロソフト社の「Copilot(コパイロット)」を利用し、その庁内アンケートでの活用状況を説明いただきました。様々な事例紹介、「試行錯誤」を紹介いただきました。その中で、生成AIをより気軽に使ってもらうために、プロンプト入力なしに使えるアプリ化を試行実施された事例を伺いました。
最後に、神戸市が目指すAI活用の姿として、①AIが役立つ場面の検証②活用モデルの確立を上げ、先進的な取り組みにしたいと結ばれました。
翌10月29日は、埼玉県戸田市役所で「ChatGPT等の生成AIの活用について」、企画財政部デジタル戦略室から話を伺いました。未来志向の行政「デジタル市役所」を掲げて、①原則すべての行政手続きをスマートフォンで完結させるデジタル化、②原則すべての使用料や手数料の支払いをキャッシュレス化、③AI・RPA導入等の徹底的なDXによる改革とデータ駆動行政の推進を進めています。
令和5年10月には、ChatGPTに関する調査研究事業の成果物として「自治体におけるChatGPT等の生成AI活用ガイド」を公表しています。
今回、興味をひかれたのは、AIカスタマーサポート市民向け応答サービスの実証実験です。生成AIの音声認識技術とAIチャットボットを組み合わせた対話システムで市民からの問い合わせを音声・テキストで受け、それをテキスト化して、AIチャットボットが回答するもの。
今年5月18日から31日まで2週間の実施内容では、市民がLINE上にて日・英・中から言語を選択して音声・テキストで問い合わせをしました。AIチャットボット+生成AI(音声認識、回答作成)、職員は回答を確認して送信するのみでした。問い合わせ件数は154件で正解89件、不正解20件、回答できない質問など対象外が45件でした。問合せの中身は、ごみ情報が一番多かったとか。