『水俣病資料館』を視察。「水俣の教訓を生かしてほしい!」とのメッセージをいただきました。

10月17日㈫、会派の行政視察2日目は、環境と健康をテーマにした緑豊かな公園・エコパーク水俣(水俣湾埋め立て地)の「学びの丘」にある『水俣病資料館』を訪ねました。この施設は、水俣病の歴史と現状について理解を深め、悲惨な公害を繰り返すことのないように教訓を伝えるとともに、水俣病に関する資料を収集保存する施設です。

平成5年1月に開館されましたが、水俣病問題については現在もさまざまな争いが続いており、いまだに解決していません。こうしたことを踏まえて、これからの時代を担う子供たちにとってわかりやすい展示にするために、平成28年春には館内の展示を全面改修して再オープン。館内は、水俣病の歴史などをパネル・写真・モニターテレビ等で紹介している展示室、直接患者の方などから体験談を聞く語り部屋、約4000点の資料を閲覧・コピーできる閲覧室があります。平成29年9月22日(金)には来館者100万人を達成しています。

熊本県では、平成23年から「水俣に学ぶ肥後っ子教室」が開かれて、県内の小学校5年生が『水俣病資料館』を見学することになっています。発端は子供のサッカーの試合で心ならずも「さわるな!水俣病!」との声が上がり、社会問題になったことでした。視察当日も、たくさんの小学生たちが訪れて資料をメモしたりしていました。

今、水俣はこの間の逆境を逆手に取り、大きく3つの先進的な取り組みを進めています。①平成4年日本で初めて「環境モデル都市づくり宣言」を行い様々な環境施策に取り組み②水俣からの発信と連携の強化③水銀に関する水俣条約への取り組み(平成28年2月日本も締結国に)です。負のイメージをプラスに転じる展開、この積極性は福島にも大いに参考になると思います。

視察終了時に、会派の会長のお礼のあいさつでは、風評被害が収まらず原発災害の終息までまだ長い年月が要する中で、若い世代に問題意識を引き継ぐためにこのような資料館の必要性に触れました。また、「福島へのメッセージは」との議員からの質問に、「水俣の教訓を生かしたほしい。時として、国や県はお金を見せることで被害の縮小を図ろうとするから注意しなさいという声もあります」と答えていただきました。

なお、この学びの丘には、他にも国立水俣病総合研究センター『水俣病情報セター』と『熊本県環境センター』があり、国・県・市が一体となり公害問題や環境問題について情報発信する拠点となっています。