「保育士養成者の立場からみた保育士確保策について」桜の聖母短期大学・西内みなみ学長に話を伺いました。
5月15日㈫、所属の文教福祉常任委員会による「待機児童の解消に関する調査」の一環として、桜の聖母短期大学・西内みなみ学長を参考人としてお迎えして、『保育士養成者の立場からみた保育士確保策について』話を伺いました。現在、桜の聖母短期大学の「生活科学科・福祉こども専攻こども保育コース」では、一学年50名、全体で100名の学生が学んでいます。今年の春も、48名の学生が保育者として学び舎を後にしています。
あらかじめ西内参考人には、当委員会から4項目の質問をお伝えしておりました。①保育士を取り巻く現状について、②復職を目指す潜在保育士の現状について、③保育士を目指す学生の意識について、④保育士の確保と定着について、です。
① については、処遇や勤務状況について説明いただきました。就職先を選ぶ上で重視することは、一旦、働いたことのある方は特に「職場の雰囲気」、次いで「給与」、「勤務体制」となっているといいます。また、第一子出産での離職率が高いことを指摘されました。
② については、福島県が行った『保育士として就労されていない方に対するアンケート調査』結果に基づき、仕事を辞めた理由として、「給与への不満」、「仕事量の多さ」が大きく、一方、保育士として働かなかった理由としては、「条件に合致する求人がなかった」等で、別の仕事をしているとのこと。
③ 今回、同短大の保育者養成課程で学ぶ学生約100名の皆さんに、例年より時期を早めて授業でのアンケートを実施していただきました。「出身地と就職希望地」、「卒業後の希望職種」、「就職する際に最も重視するもの」などを学年別に集計して、資料としてお持ちいただきました。1年生、2年生ともに重視するのが「職場の雰囲気」、次に「給与」、次に「園の運営方針や園長・主任の考え方」となっています。
④ については、まず、給与や雇用形態の改善。特に、勤務内容(役割の明確化等)を整える必要性を指摘。具体的に、園周辺の清掃や教材作り、バス送迎の同乗等が負担に思っているといいます。
さらに、保育に対する意欲や自信に繋がる研修を充実すること、今後、処遇等の改善の情報や保育の魅力を発信していくことの重要性を指摘。市外、県外への人材流出対策として、産学官連携によるキャリア支援(環境整備)の必要性を訴えられました。
その後の委員との質疑において印象に残ったことは、「待機児童がいるということは、働きたいという女性がこれだけいるというメルクマール(指標)となっています。活力ある街ということ。就職で福島を離れた学生も、必ず帰ってきます。ある意味、働く人の使い捨て的な一時的施策でなく、ぜひ、長期戦で考えて、今がんばっている先輩を手厚くもてなす施策をお願いします。つまり長く働き続けられるような職場環境の整備がポイントです。現場の声を参考に改善していってほしいと思います」(文責/二階堂)。どこまでも前向きで、この街が大好きという西内学長のお話が各委員の心に響いてきて、活発な意見が交わされました。現場からの視点、情報の提供は今後の委員間の合意形成、そして委員長報告をまとめていく上で、大変示唆に富むものとなりました。