鳥取県の西の端に位置する境港市は、人口約3万5千人で基幹産業は漁業です。日本屈指の漁港で、現在でも生のクロマグロやカニの水揚げ量は日本一です。しかし、境港とは対照的に、昭和の末には玄関口である駅前商店街はシャッター街でさびれ、その危機感の下、当時の市長のリーダーシップで「街づくりプロジェクト委員会」が組織されます。平成元年、委員会による「緑と文化のまちづくり」の取り組みがスタート。駅前商店街の街路を「うるおいのある道」にする計画の中で、市から、設置するオブジェを地元出身の水木しげる氏ゆかりの「妖怪」とする提案が出されました。当初は反対派が多数でしたが、プロジェクト職員の熱意もあり、紆余曲折を経ながら「水木しげるロード」がオープンできました。
それからは
現在、平成5年のオープンから23年が経ち、大規模なリニューアル事業計画が進行中です。「妖怪のまち」も大きく生まれ変わろうとしています。。(さらに、近年では国内外のクルーズ船も数多く寄港し、海外の訪問客も増えており、外航クルーズの分野では日本海側拠点港に選定されていて、新たな貨客船専用岸壁の整備も進んでいるとのことです。)
この勢いの渦の中心には、キーマン、桝田知身氏の存在があります。2004年5月に観光協会会長に就任すると、幅広いネットワーク、高射砲のごとき繰り出す豊富なアイデア、行動力、マスコミへの働きかけなどで、境港市の人気観光地としての地位を確立していきます
桝田会長が言っていますが、「ありがたいことに、境港には新幹線も来ないし人口も増えない。高いビルもない。神社や祠、お寺、森、川、海、路地など不思議なものに出会えるような環境が、古い面影をとどめたままたくさん残っている。『水木しげるロード』界隈などは、とくに昭和の雰囲気を色濃く残すたたずまいだ。妖怪ブロンズ像にしても、近代的な高層ビル群の谷間にあっては、冴えないであろう。昭和の風情の残る町並みだから活きるというものだ」(桝田知身著『水木しげるロード熱闘記』から)。