「花時計」の店主Eさんと初めて話をしたのは、

「花時計」の店主Eさんと初めて話をしたのは、随分前のことです。
ある日の早朝、勤め先のテナントビルの屋上から女子生徒が空へジャンプして亡くなり、数時間後、歩道は何事もなかったようにきれいにされて、清掃をしていた専門業者の方が引き上げた後のことでした。出社してはじめて事件を聞き、いたたまれない思いで目と鼻の先にあった「花時計」に行き、小さな花束を買い求めた時でした。
仕事がかわってからは、駅前に出かけた折に顔を見かけると長めの立ち話で盛り上がっていましたが、ここ数年は病気の話が出るようになりました。
年明けに寄ると張り紙があり、「この都度都合により暫くの間休ませていただきます。つきましては、再開の時は特段のご配慮の程、宜しくお願い申し上げます」とあり、店内はきれいに片づけられていました。
入院先を聞き見舞いにと思いつつ、忙しさにかまけていたら、突然、新聞の訃報です。
思い出すのは、雪が降った日は角スコを手に歩道の除雪をし(1年前の写真・Eさんはどこにいるでしょうか)、花の季節には寄せ植したプランターを歩道沿いに並べ、道往く人に潤いを届けてくれました。
享年64歳、本当にお疲れさまでした。安らかにお眠りください。合掌。