「夜間中学があることで地域の教育が向上します」と見城慶和さん。

1月14日㈯、「夜間中学を知る集い」が市民会館で開催されました。当日は主催者の「福島に公立夜間中学をつくる会」の大谷一代代表(写真上)のあいさつに続き、森康行監督の映画『こんばんは』が上映されました。涙あり、笑いあり、墨田区立文花中学校夜間学級の日常が描かれています。

「病気や貧困で学校に通うことがかなわなかった高齢者や、日本語がわからない在日外国人、不登校の若者など、様々な理由で義務教育が受けれなかった、17歳から92歳まで、8か国80人の生徒たちが通っている。年齢や国籍が違っても、彼らに共通することは『学びたい』という気持ちである。…熱心な教員も、人生経験豊かな生徒たちを相手に連日大奮闘だ。だが、そこには“学ぶ喜び”“教える喜び”本当の教育の姿があった」〈森監督のストリー紹介の文章から抜粋〉。

映画に先生で登場した元教師の見城慶和さんがサプライズでステージに立たれで述べられた「夜間中学があることで地域の教育が向上します」と、全国夜間中学校研究会理事の須田登美雄さんの「(公立夜間中学が)福島に一つあることでさまざまな問題解決に結びつきます」が、映画の感動と共に心に残りました。

第2部では、「夜間中学と日本の教育の未来」というテーマで文部科学事務次官の前川喜平氏が講演をしました。「見て見ぬふり」という、夜間中学がタブー視されていた時代から、今や文科省が「夜間中学のご案内」のパンフレットを作る時代になったという大きな変化がとても感慨深げでした。「人間が人権を発揮するには教育が必要であり、主権者たりうるには学ばなければならない。そして、教育を受ける権利に年齢制限はない。…ユネスコ憲章前文を引き合いに、無知や偏見が戦争のベースになる」とも話されました。

特に、昨年12月に超党派で成立させた「義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律」が、「第一歩だが大きな第一歩」と力を込められました。公立の夜間中学における就学の機会の提供について、地方公共団体に義務を課すものです。「これは、夜間にとらわれず、日中でも可。さらに、夜間中学は文科省の指導要領に合せなくてもよいとする」とも話されました。

今回の主催は、福島に公立夜間中学をつくる会でしたが、参加された多くのみなさんが気持ちを同じくされたと思いました。